多摩地域の消防署に聞きました!【北多摩西部消防署さま】
多摩地域の消防署について、普段の活動や消防に関連する役立つ情報などを消防署の方にインタビューし、紹介していきます。
今回は、北多摩西部消防署の青木さんにお話をお伺いしました。
青木 優さん: 北多摩西部消防署 消防副士長
日頃の活動内容: 建物の建築計画内容を確認し、消防用設備が適切に設置されているか、構造の防火性が適切かを確認します。また、建築中・完成後も検査を行い、安全性の確保に努めています。
北多摩西部消防署について
—— 初歩的な質問ですいません。消防署では普段どのような活動をしているんですか?
皆さんの頭の中に思い描く消防署の仕事として、火災・救急・救助など災害活動のイメージがあると思いますが、その他にも、火災を未然に防ぐための活動もあります。
例えば、建物の検査や事業所の方への自衛消防訓練指導や、地域の方との防災訓練、消防団員の訓練指導など多岐にわたります。
災害に出場する隊員は朝8時30分から24時間の勤務となり、3交替制(1当番 → 2非番 → 3週休)で行っています。夜は22時~24時頃に就寝時間となり、仮眠をとります。災害で出場しているとき以外の時間は、災害の事務処理や活動訓練を行います。
また、災害時でも自分達で食事を用意できるように、消防署の調理場で自炊しています。北多摩西部消防署の場合、1当番で勤務している人数は約40人います。
建物の検査や防災啓発活動を行う職員は平日の日中勤務で、こちらも人数は約40人です。
消防まかないレシピも発信中!
—— 広報活動もされているんですね。
はい。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、従来の広報活動が難しくなりましたので、皆さんのおうち時間に寄り添える新しいアイデアとして始めました。消防職員には料理上手な職員が何人もいますので、得意料理や人気レシピを紹介しています。
管内のスーパーに置かせて頂いたところ、あっという間になくなってしまい、うれしい誤算となりました。
—— 現在、新庁舎を建設中と伺いました。詳しく教えてください。
はい。令和3年11月頃に北多摩西部消防署の新庁舎が完成します。
新庁舎では、事務室レイアウトの新しい試みとして「フリーアドレス制」を導入する予定です。フリーアドレス制とは、各職員が決められた席を持たず、日によって座席を変えることで、様々な職員との横断的なコミュニケーションや良い発想が生まれやすいという利点をもち、多くの先進企業が取り入れている事務室の体系を言います。
電子決裁も始まり、消防署もデジタル技術を取り入れ、業務の効率化を図っています。
気をつけて!二酸化炭素消火設備の誤放出
—— 地域の人に向けてお伝えしたいことはありますか?
はい。令和3年4月、新宿区内の機械式駐車場において、二酸化炭素消火設備の消火剤が誤って放出され、死者4名、負傷者2名を出す事故が発生しました。ニュースでもかなり報道されました。
皆さまの建物で同様の事故が発生しないよう工事を行う際には、事前に管轄消防署に相談してください。
工事・メンテナンス時に気をつけること。
- 二酸化炭素消火設備を熟知した消防設備士や消防設備点検資格者を立ち会わせ、消火剤が放出されない措置を講じた上で工事を開始するなど作業時の安全を確保してください。
- 関係者以外の人が立ち入らないように管理を徹底してください。
建物利用者などの人にしっかり伝えましょう。
防火管理者や自衛消防隊員、二酸化炭素消火設備設置場所の利用者等に向けて、設備の適正な取扱方法、作動の際の対応方法、避難方法、二酸化炭素の人体に対する危険性等について周知するようにお願いします。
もしも、消火設備が作動した場合は!
二酸化炭素消火設備の消火剤が放出された場合には、すぐに119番通報をして、放出場所に人を立ち入らせないようにしてください。
二酸化炭素消火設備について、さらに詳しくお話を伺いました。
—— 二酸化炭素消火設備とは、どのような設備なのですか?
二酸化炭素消火設備は、主に窒息消火により火災を鎮火させるための消火設備で、固定式と移動式があります。
—— どのような建物に設置されているんでしょうか?
二酸化炭素消火設備の特徴として、消火に伴う汚損が少なく、電気絶縁性があることから、一定規模以上の通信機器室、電気室、ボイラー室、駐車場などに設置されています。
—— 消火剤は、どのようにすると放出されるのでしょうか?
以下の2通りがあります。
- 手動起動装置(操作箱)の手動起動ボタンを押すと放出する場合
- 自動火災報知設備の感知器の作動と連動して放出する場合
—— 作動した場合、どのような危険があるんですか?
消火剤である二酸化炭素には毒性(麻酔性)があるため、高濃度の二酸化炭素を人が吸うと即時に意識喪失し、酸素欠乏症に陥り死に至る危険性があります。
なお、安全のため二酸化炭素消火剤の放出前には、音声による警報が行われます。
—— 主な二酸化炭素消火設備の誤放出の原因はどういったものがあるのでしょうか?
二酸化炭素消火設備の手動起動装置の手動起動ボタン(下記のフローを参照)を誤って押してしまったために、誤放出してしまったという事故が多く発生しています。
二酸化炭素消火設備の誤放出について、下記のパンフレットでもご覧いただけます。
二酸化炭素消火設備の誤放出に関して
問い合わせ先 | 東京消防庁予防部予防課 |
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電話 | 03-3212-2111(代) |
管轄消防署 | 東京消防庁ホームページから検索できます。 https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/ |
消防というと、火事など何かあった時に活動されているイメージが強いですが、火災を未然に防ぐための様々な活動もしているんですね。
勤務体制も仮眠はあるとはいえ、24時間の勤務とは驚きです。
消防士さんがレシピをつくるなんて、最初は意外だなと感じたのですが、普段から災害時でも自分たちで食事を用意できるように、自炊している話がレシピにつながっているんだと納得しました。
今回は消防署の活動内容だけではなく、二酸化炭素消火設備の誤放出についてもお話しいただきました。
令和3年4月の新宿で起きた、二酸化炭素消火設備事故はニュースでご覧になった方も多いと思います。
事前の準備や万が一のときの備えとして、お読みいただけると幸いです。
まかないレシピも是非、お試しください。
北多摩西部消防署インフォメーション
ホームページ | https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/hp-kitatamaseibu/ |
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住所 | 東大和市桜が丘3丁目44番地の41 |
電話 | 042-565-0119 |
FAX | 042-564-0119 |